世界の果てで、君との堕落恋愛。
3人は自分たち以外まだ誰も教室にいないと思っているようだから、わたしはできる限り気配を消して身を縮める。

こういう瞬間は本当に気まずくて困る。


「って、あー! 黒板綺麗になってる! 俺らが汚くしちゃったのに、一体誰が……」


賀上くんが黒板の方を見て驚いた後、不覚にか知らないけど、突然わたしの方に視線をやった。

気まずさが倍増し、肩をビクリと震わすわたし。

地味子の姿をしているせいで、心まで臆病で日和ってる奴みたくなってしまっている。


「もしかして刀利さんが黒板綺麗にしてくれた……?」


わたしは何て答えようか迷ったけど、とりあえず軽く頷いておいた。

すると、目を見開かせて物凄いスピードでこちらに走って来た賀上くん。

友人2人も賀上くんに続いてやって来るから、男子に耐性がわたしは内心あわあわとしてしまう。


「刀利さん本当にごめん!! 俺ら、昨日ふざけて変な絵描きまくって、そのまま消さずに帰っちゃったからさ……。すげえ助かったよ!」

「あ、ああ……はい。良かったです」


賀上くんのことは嫌いじゃないけれど、少し苦手だ。

性格が悪いわけではないけれど、こういう明るい系が眩しすぎてわたしには合わないのだと思う。


「……あの〜、オレもすみません。助かりました」

「黒板消してくれてありがとう! 鬼北、まじ怒ると怖いから助かるよ〜〜。僕らが黒板に落書きしたってことは鬼北に言わないでいてもらえると嬉しいな〜」
< 29 / 81 >

この作品をシェア

pagetop