世界の果てで、君との堕落恋愛。
「……っやっぱりいい。言わなくて、大丈夫」


悲しいことなんて、絶対に耳に入れたくない。


「涼香……。涼太ね、いつもとっても頑張ってる。でも、今日山田先生から言われたのはね……っ」


目に涙を浮かべて、涙まじりの悲痛な声でそこまで言ったお母さん。

やめてやめてやめて……っ。

その先は聞きたくない。

お願いだから何も言わないで───


「涼太の小児がん、病状が深刻化してるって……もう、完治はしないって。ううっ、ぁ゙あ〜〜〜っ」


きっとお母さんはわたしが来るまでの間、1人で泣くのを堪えていた。

堰を切ったかのように溢れ出す涙を見て、愕然とそう思う。


「そん、な……」


涼太くんは、明らかに普通じゃないわたしとお母さんを交互に見つめて、不安そうにしていた。


そして、いつかの日々を思い出す。


わたしが小学校高学年の頃にお母さんが涼太くんを妊娠して、思春期に突入しようとしていたわたしは、両親と少し気まずい関係が続いた。
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