【短編集】異世界恋愛 (by降矢)
「なっ、何!?」

 エレノアは捕らわれた。黒い翼の生えた青年――魔王アイザックの手によって。

 黒い水晶の中、瘴気に囲まれた彼女は結界で身を護ることを余儀なくされる。

 魔王の目的は魔族への復讐だった。彼は魔族の王たる大魔王の父と、人間の母との間に生まれた『半魔』。

 物心ついた頃から母と共に虐げられ、搾取され続けてきた。自身では大魔王他、義兄や義姉にあたる魔王達には敵わない。

 故に天敵である勇者他、光の戦士を焚きつけるに至った。そのためにエレノアを攫い、ユーリの故郷を滅ぼしたのだ。

 ――そう。ユーリは勇者だったのだ。

 「絶対に助ける! ~~っ、絶対に!!!」

 ユーリの体が七色に輝き出す。とても眩しく、それでいて力強く、優しい光。

 「オレがっ、オレが助けるんだ!!!」

 ユーリは宣言通り勇者として大成し、見事エレノアを助け出した。だが、それには10年にも及ぶ時を要してしまう。


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