【短編集】異世界恋愛 (by降矢)
黒水晶の中は亜空間であったらしく、彼女の見た目は捕らわれた時のまま。実年齢は30歳であるものの、その見た目は20歳の頃のままという何とも奇妙な状態になっていた。
そんなふうにして変わらぬ面がある一方で、とあるものを――掛け替えのないものを消耗してしまっていた。それはずばり命だ。
「ごめんなさい。わたくしはもう長くはないのです」
エレノアは瘴気に抗うため自らの命を燃やした。結果、彼女の余命は2年に。命の灯はいずれ消え、眠るように息を引き取るのだという。
「そんな……っ」
ユーリの表情が暗く沈む。自責の念に駆られているようだった。
貴方のせいじゃない。貴方は仲間と共に懸命に励んでくれた。
伝えなければならない言葉の用意はある。にもかかわらず、何も言えない。
終わりを告げる言葉であるからだ。未だ夢を見ているのだと痛感する。この人と。ユーリと愛を育みたいのだと。
「構いません」
ユーリが切り出した。栗色の瞳に力を込めて。自身の中で余計と捉えているらしい感情は排しているようにも見えた。退けているのはおそらく怒りや悲しみ。
そんなふうにして変わらぬ面がある一方で、とあるものを――掛け替えのないものを消耗してしまっていた。それはずばり命だ。
「ごめんなさい。わたくしはもう長くはないのです」
エレノアは瘴気に抗うため自らの命を燃やした。結果、彼女の余命は2年に。命の灯はいずれ消え、眠るように息を引き取るのだという。
「そんな……っ」
ユーリの表情が暗く沈む。自責の念に駆られているようだった。
貴方のせいじゃない。貴方は仲間と共に懸命に励んでくれた。
伝えなければならない言葉の用意はある。にもかかわらず、何も言えない。
終わりを告げる言葉であるからだ。未だ夢を見ているのだと痛感する。この人と。ユーリと愛を育みたいのだと。
「構いません」
ユーリが切り出した。栗色の瞳に力を込めて。自身の中で余計と捉えているらしい感情は排しているようにも見えた。退けているのはおそらく怒りや悲しみ。