天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
 術着であるスクラブスーツを着た彼は百八十五はあるだろう。

 脚の割合が大きい上に、マスクをしておらず眉目秀麗な顔が露になっていたので、その場にいる誰もが釘付けになる。

 力強い切れ長の黒い瞳、すっと鼻筋が通った高い鼻。形のいい薄い唇。そして左目の下にある小さなほくろ。

 とても瀬七さんに似ている。

 いや、まさかそんなはずは。彼は、海外で医師を続けていきたいと言っていたはずだ。

 どくどくと心臓が早鐘を打ち、彼から目が離せない。

 するとついに西堂先生と目が合い、どくんっと大きく心臓が跳ねた。

 やっ……ぱり。

 彼がマスクをしながら、私のもとにまっすぐ歩いてくる。

 もうすぐ手術が始まるというのに、金縛りにあったように動けない。

 「奥名さん、はじめまして。西堂です。今日は長丁場になるけどよろしく」
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