天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~

 挙式後に教会から出た俺たちは、外で待ってくれていた蝶ネクタイ姿の栄斗を真ん中にして、手を繋ぐ。

 昨晩ホテルでたくさん予行練習をしたからか、栄斗の顔は自信に満ち溢れていた。

 「まま、ぱぱ。きれいだね」

 大勢の参列者が作ってくれた花道を、三人で同じ歩幅で歩いていく。

 あちこちから聞こえてくる祝福の言葉に、俺たちは顔を合わせて微笑み合った。

 「うん、お花の雨。本当に綺麗だな」

 俺が答える反対側で、栄斗の頭に乗っている花びらをひかりが微笑んでとってあげている。

 「栄斗、みんなにありがとうございました。ってママとパパと最後に言おうね」

 「うん!」

 みんなが降らせてくれる花のシャワーまでもが、俺たちの結婚を喜んでくれているようだ。
 
 栄斗に自分の父親が俺だと伝えた日を、昨日のように思い出せる。

 受け入れてくれないかもしれない、という不安はほとんどなかったが、戸惑わせるかが心配だった。

 けれど彼は年齢の割に落ち着いていて“やっぱりそうだったんだ!”とクイズに正解したように無邪気に笑っていた。

 俺と本能的に血が繋がっていると、勘づいていたのかもしれない。

 「おめでとう、ひかり」

 歩き始めてすぐ、ひかりの母が見えてきた。

 彼女は温かい眼差しを俺たちに送ってくれている。

 彼女は二度の心筋梗塞を発症したが、今はペースメーカーを入れて海外旅行ができるまで元気に回復。

 はじめ俺とひかりは、ひかりのお母さまも一緒に四人で暮らそうと提案した。

 けれど彼女は、俺たち家族三人の生活を大切にしてほしいと言ってくれ、今はもともと暮らしていたマンションでひとり暮らしをしている。

 俺とひかりは彼女の体調が心配で、マンションの近くに一軒家を建て、栄斗を連れてしょっちゅう遊びに行ったりしている。

 「瀬七、おめでとう」

 「ひかりさん、きれいですよ~!」

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