天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
突然、確信を突く言葉を言われ、頭が真っ白になる。
マスク姿とはいえ、やはり気づいたのだろうか。
瀬七さんは私の表情ひとつ見逃さないとばかりに、瞬きもせずに見つめてくる。
いや……違うってちゃんと言わないと。まだ、私って確信しているわけではなさそうだし。
同じ職場でいずれバレてしまうとしても、考えがまとまっていないので、とりあえず今はやり過ごしたい。
動揺しつつも否定するため、息を吸い込んだ……そのときだった。
「ひかり先輩~! 私代わります。師長が呼んでますよ」
星宮ちゃんの明るい声に、サッと血の気が引く。
まずい。今、名前……。
「ひかり……だと?」
瀬七さんの動揺した表情を見て、彼が私に気づきかけているのを確信する。
これ以上顔を見られるわけにはいかず、とっさに腰を折って彼の鋭い視線から逃れた。
「すみません、行かなくちゃいけないので。失礼します」
「待ってくれ。やっぱり君、あのときのひかりなのか?」
立ち去ろうとする私の腕を彼はすかさず握る。
この異様な事態に周りにいた看護師がみな一斉にこちらを見た。
「私は……ひかりです。でも、西堂先生とは初めて会いました。すみません……本当に失礼します」