天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
消したい思い出

 瀬七さんと再会してしまった翌朝、ナースステーションの話題は彼でもちきりだった。

 その場にいた誰もが他の医師とはレベルが違うと口を揃える。

 「でも驚きよ。西堂先生が世界最高峰のGavin(ガヴィン)の外科医だったなんて」

 「しかもあの容姿でしょ。本当もったいない……。イケメン医師としてハリウッド進出もあったんじゃないの」

 そんな無茶苦茶な。

 大沼さんたちの噂話を少し離れたところで聞きながら、思わず突っ込みを入れてしまいそうになる。

 私の瀬七さんの印象は、自分の容姿や技術をひけらかすタイプではなく、どちらかというと医療に対し泥臭く地道に努力を重ねる職人系のイメージだ。

 だから世界トップレベルの医師になれたのだと思う。

 瀬七さんがいたガヴィン・ケイシー・ホスピタルは、アメリカ、ボストンにある医療、医師、設備ともに世界最高峰といわれる大病院。

 医師になるのも難しいが、さらにガヴィンで医師になるというのは難関中の難関。

 私もそうだけれど、みんなやり手の瀬名さんがガヴィンから離れ、なぜうちの病院にやってきたのか不思議なようだ。

 すると大沼さんの輪の中にいた星宮ちゃんが「あっ!」と思い出したような声をあげた。

 「私、心外のナースから噂で聞いたんですけど、院長の娘さんと仲がいいみたいですよ。この前院長と三人で話していたって」
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