天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
「どうぞ」
扉の向こう側から聞こえる声に腰を上げると、白衣を着た霧島院長が部屋に入ってきた。
院長は白髪交じりの髪を綺麗にセットし、トレードマークであるフレーム眼鏡の奥でにこやかに目を細める。
そんな彼の隣には、娘の恵が医療事務員の制服をきちんと着て俺に手を振っていた。
「おはよう、西堂君。すっかりここは君の城になっているな」
「瀬七、おはよう~!」
「おはようございます。院長、メグ」
この数日は学会の出席や、手術が立て込んでいたりしたので、院長と恵とは久しぶりに顔を合わせる。
知らず知らずのうちに慣れない環境で気を張っていたようだ。ふたりの顔を見てどこか安心感を覚えている自分がいる。
「君の評判は僕の耳にも入ってきているよ。この調子で頑張りたまえ」
「恐縮です。精進してまいります」
「……それで、以前話した患者のカルテを持ってきた」
表情をなくした院長は、一枚のカルテを俺に差し出し、本題に切り替えた。
彼から受け取り、軽く病名や術式の提案を受ける。
「またご相談させてください。策を練ってみますので」
「頼むよ」
全国から俺宛に手術の依頼が複数届いており、自分のペースで休めるようにと院長が気を使ってこの個室を用意してくれた。
俺がここに来た理由のひとつにあるのは、人材不足で教育が行き届きづらい今の状況を打破し、技術を向上させること。
こうして俺が難易度の高い手術を他の医師たちと協力して行っていくことで、未来を担う医師に刺激を与え育っていけばいいと思う。
一通りの会話を終えると、霧島院長は用が済んだとばかりに扉に手をかけた。
「西堂君がきてくれて、この病院もとりあえずは安心だ。あとは恵をもらってくれさえすれば、何も言うことはない」
「院長、それは……」
扉の向こう側から聞こえる声に腰を上げると、白衣を着た霧島院長が部屋に入ってきた。
院長は白髪交じりの髪を綺麗にセットし、トレードマークであるフレーム眼鏡の奥でにこやかに目を細める。
そんな彼の隣には、娘の恵が医療事務員の制服をきちんと着て俺に手を振っていた。
「おはよう、西堂君。すっかりここは君の城になっているな」
「瀬七、おはよう~!」
「おはようございます。院長、メグ」
この数日は学会の出席や、手術が立て込んでいたりしたので、院長と恵とは久しぶりに顔を合わせる。
知らず知らずのうちに慣れない環境で気を張っていたようだ。ふたりの顔を見てどこか安心感を覚えている自分がいる。
「君の評判は僕の耳にも入ってきているよ。この調子で頑張りたまえ」
「恐縮です。精進してまいります」
「……それで、以前話した患者のカルテを持ってきた」
表情をなくした院長は、一枚のカルテを俺に差し出し、本題に切り替えた。
彼から受け取り、軽く病名や術式の提案を受ける。
「またご相談させてください。策を練ってみますので」
「頼むよ」
全国から俺宛に手術の依頼が複数届いており、自分のペースで休めるようにと院長が気を使ってこの個室を用意してくれた。
俺がここに来た理由のひとつにあるのは、人材不足で教育が行き届きづらい今の状況を打破し、技術を向上させること。
こうして俺が難易度の高い手術を他の医師たちと協力して行っていくことで、未来を担う医師に刺激を与え育っていけばいいと思う。
一通りの会話を終えると、霧島院長は用が済んだとばかりに扉に手をかけた。
「西堂君がきてくれて、この病院もとりあえずは安心だ。あとは恵をもらってくれさえすれば、何も言うことはない」
「院長、それは……」