天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
聞こえてきた名前に、動きを止めた。
「ひかり?」
「……ええ、オペ看の子ですよ。もうめっちゃ可愛くて、狙ってるんですよ。毎日やり取りしてるしそろそろ付き合えるかなぁって」
スマホを弄っている東園寺の横顔を、いつの間にか睨みつけていた。
急いで顔を手で覆い、困惑した頭を整理する。
オペ看で、ひかりという名前は彼女しかいないはずだ。
ん? なんだって?
こんなろくでもない男と、ひかりがいい関係になっているだと?
ひかり、いったいどういうことなんだ。
まだ俺が認められるぐらいの男ならば、百歩譲ってその戯言も一旦は受け入れていたかもしれない。
だがこの東園寺という男は、地球がひっくり返っても難しい。断言できる。
「ま、彼女子供いるんで、なかなかガード硬いんすけどね」
「子供……?」
さらに衝撃的な内容が重なって、思わず尋ねてしまった。
すると東園寺はあっけらかんとした表情で、こちらを振り返る。
「はい、ひかりさんはシングルマザーなんです。年齢は結構、若いんですけどね」