天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
 星宮ちゃんは残念そうにつぶやき、ロッカーにスマホを入れてパタンと扉を閉めた。

 「ひかり先輩、準備できました?」

 「うん、大丈夫。行こうか」

 平静を装って星宮ちゃんに笑いかけ、更衣室をあとにした。

 瀬七さんが言っていた“メグ”は、院長の娘さんだと確信している。

 院長の娘さんの名前は“霧島恵(きりしま・めぐみ)”さん、だから。

 ということは瀬七さんが四年前に、なんらかの理由で結婚していなくても、わざわざ恵さんがいるこの大学病院にやってきたというのは、恋人には間違いないだろう。

 私のこの気持ちは、いくら考えてもどうにもできないもの。

 忘れよう、と言い聞かせているけれど、瀬七さんの存在がとても近くにあって、以前よりもずっと存在感が増している。

 この状況を打破するにはどうしたらいいのかと、あれこれ検索にかけたりもした。

 結果、一番いいのは新しい恋を見つけ、好きな人を上書きすることらしい。

 でもそんなこと、私にはできるのかな、と思ったり。
 
 「ひかりさん、おはようございます」

 「わっ……」
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