天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
「じゃあ、私は栄斗を送ってくるわ」
「まま! いってきます」
私が食べ終わったタイミングで、手をつないだ栄斗と母がリビングから出ていく。
「うん、いってらっしゃい! 保育園楽しんできてね。ふたりとも気をつけて」
後ろ姿を見送った後、ポケットに入れていたスマホの時刻を確認すると、七時十五分を指していた。
急いで化粧をして、八時の始業時間に間に合うように準備をしなくちゃ。
いつも通りの忙しない日常。
キラキラした朝日を浴びながら、美味しい朝食をいただく。栄斗の笑顔を見て幸せに浸る。
たくさんお仕事をして、ふたりと一緒に夕食を囲む。
こんな生活ができているのは、シングルマザーの私を母が全面協力してくれているからだ。
中学二年生の頃に父を病で亡くしてから、母とは二人三脚で生きてきた。
母はパートと内職をたくさん掛け持ちしながら、私に寂しさを感じさせないようにと、学校行事にも必ず参加してくれた。
一生懸命育ててくれて、私を看護学校まで出させてくれたのだ。
そんな心優しい母が、重度の心筋梗塞で倒れたのが栄斗を出産して三カ月がたったころ。
私は栄斗を育てるため……そして職場復帰が難しい母を経済的に支えるために、オペ室の看護師として復帰することを決意したのだった。
だから今は奥名家の大黒柱として、この幸せな日常を守ることが私の役目だと思っている。