天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~
「ひかり先輩、今日気合入ってます? メイクちょっと濃い」
始業時刻五分前に、手術着に着替えナースステーションにやってくる。
すでにできている看護師の輪の中に入ると、二年後輩の星宮ちゃんが笑顔で覗き込んできた。
星宮ちゃんは犬顔の童顔でふわふわした雰囲気なのだけれど、いざ手術室に入ると機敏な動きでとても仕事ができる。
「鋭いね~、眠かったから気合入れるためにアイメイクをしっかりしたの」
「すごく似合ってますよ、アーモンドアイが際立ってて。でも東園寺先生には見られないように気を付けないとですね! ラブアタックされちゃう」
ぽんっとわざとらしく肩を叩かれて、思わずため息がこぼれた。
「ほんと、東園寺先生には困っちゃうよ。毎日LINEがくるんだよ?」
東園寺先生は心臓外科医。
距離感が近くて慣れ慣れしいし、手術中の粗雑な振る舞いも気になってしまう。
なぜか私を気に入っているらしく、栄斗を預けて遊びに行こうなどと連絡してくることもある。
都度、仕事と育児で手いっぱいでそんな気は起きないと伝えているのだけれど、なかなか諦めてくれない。
顔を合わせるため無下にはできず返事はしているが、とても面倒だ。
そんな話をしていたら、看護師長が電子カルテを持ってやってきた。
今からカンファレスで申し送りを行う。
「今日は心臓血管外科の手術になります。執刀医は先日赴任してきた西堂先生になります」