紺碧の夜に見る夢は

 夜は何色か? と問われた時、きっと『黒』と答える人が多いと思う。


 日が落ち、夜が訪れ、辺りは闇に包まれる。



 黒い。一般的な夜の色は、黒だ。



(だけどきっと……夜は、青だよ)



 物語に出てくる描写のような……どこか違う世界のような。


 そんな青い夜があることを、わたしは知っている。

 夜の世界が青で染まってしまえば、夜がくることなど怖くない。


 惜しいほどの夜が明け、朝が来て、日が沈んでまた夜が訪れる。

 そんな幸せなサイクルの中で、生きることができるはずなのに。



 眠れない夜は嫌いだ。


 ただまっくらで、両親の怒声を薄い壁を通して聞きながら、布団にくるまらなければならない。


 一日の終わりにいちばんストレスが溜まってしまうのならば、おだやかに休憩する場所すらわたしの世界には存在しない。


 それがただただ苦しくて、つらくて。

 いっそ死んでしまえば永久に休めるのかもしれないと思ったけれど。



『またいつか逢えるといいね……青い夜に』



 そんな記憶がいつまでもへばりついて消えないから、まだ死ぬのは惜しいんじゃないか、という気持ちが、わたしをこの世界にとどめ続けている。
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