紺碧の夜に見る夢は
パーカーに長ズボン。
髪は適当に後ろで結って、下向きがちに歩いていく。
できるだけ顔を見せたくなかった。
制服を着ているわけではないものの、誰かにバレたくなかった。
誰に、と聞かれると返答に困るのだけど、強いていうならばわたしという存在を知っている人たちすべて。あとは……深夜徘徊だと通報され、面倒なことになるのも避けたかった。
しばらく歩いていると、キラキラと光るネオン街に到着した。
青い夜というよりは、ピンクや緑といった印象を受ける。やっぱり青い夜ではない。
どこで見た景色なのか、そんなことは分からない。だけど、遠く離れた、けれど限りなく近い場所から、まるでこっちへこいと呼ばれているような気がした。
夜の街は、こんな顔をするんだ。どこもかしこも、昼よりも明るくて、騒がしい。
ここは眠らない街と呼べるほど、灯りが潰えることは想像できなかった。辺りを見回しながら、雑踏に紛れる。
「……へんなの」
見渡す限り、誰もが自信に満ち溢れた顔でそこに存在していた。
夜に彩られ、粧し込まれた私を見て、と。
そんなふうに己の存在を主張していた。