1分で怖い話 part1
1階の和室は畳が剥がれてひどい有様になっていて、それを見てから倫子はずっと顔色が悪い。

むき出しになった板の下から香ってくる土の匂いで気分を悪くしたみたいだ。

浩二も和室へ入った時には疲弊したけれど、せっかくここまで来たのだから全部見て回りたいという気持ちになった。

「2階は3部屋だけだから、すぐに終わるって」
「でもぉ……」

浩二は嫌がる倫子の手を握りしめて2階へと向かう。
階段は比較的きれいな状態で歩きやすい。

そして到着した2階は1階よりも荒れていない様子だ。

壁にスプレーでラクガキされているけれど、ドアが壊されたりはしていない。

「なんだ。思ったよりもキレイじゃないか」
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