１分で怖い話　part１
B男の父親は早くに病気で他界して、女でひとつでB男を育ててきた、たくましい女性だ。
だからもっとキツイ雰囲気なんじゃないかと、勝手に想像していた。

「それじゃ、料理を教えてあげましょうか」
A子が持参した手土産で１時間ほど雑談をしたあと、母親に連れられてキッチンへ向かった。

しかし、キッチンへ入った瞬間他の部屋とは違う雰囲気がしてA子はどまどった。
シンクに置かれたままの汚れたフライパン。

テーブルに出されっぱなしのお皿やお箸。
他の部屋はキレイに掃除されているのに、ここだけは掃除がされていないのだ。

手が回らなかったのかな？

と思ったけれど、A子が料理を教わりたいとうことは先に話してあったから、まずはキッチンを掃除するはずだ。

「さ、私の隠し味が知りたいのよね？」
そう言いながら腕まくりした母親を見てA子は更に目を見開いて絶句した。

その腕には古い傷や青あざの痕が山程残っていたのだ。
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