私が一番あなたの傍に…
「…餃子、美味いな」

愁がボソッと呟いた。あまりの美味しさに心の声が漏れてしまったのであろう。
私も同じ気持ちなので、愁に共感した。それぐらい餃子がとても美味しかった。
同時に私はうどんのことが気になっている。もう麺が伸びているのは間違いないが、できるだけあまり伸びていないことを願った。
恐る恐るうどんに箸を近づける。箸で掬ってうどんを持ち上げて、口元へと近づける。麺を啜って食べる。喉越しの良い麺なので啜りやすい。
麺に絡みついているスープも美味しい。すっきりとしているが、ちゃんと出汁の味も濃厚で。匂いも良い。上に乗っているお肉もスープが染み込んでいて。お肉自体も柔らかくて美味しい。
安価でこんなにも美味しいうどんに感動した。天ぷらと餃子同様、箸が止まらなかった。気がついたらまたうどんもなくなっていた。

「あまりにも美味しすぎて、無我夢中でうどんを食べてたら、もうなくなっちゃった…」

まだ私には餃子とかしわ天が残っている。まだ美味しいものを堪能できる。
そう思ったら、更に口の中で涎が溢れた。もうこのまま残りの餃子とかしわ天も食らいつきたい。
大きい口を開けて、まずはかしわ天に食らいつく。時間は経っていてもちゃんと衣がサクサクしている。
それでいて肉厚で。かき揚げに負けないほどのボリュームがある。でもくどくなくて。食べやすいので、またあっという間になくなってしまいそうだ。

「うどんとかしわ天も美味しそうだな…」

私の食べている様子を見て、愁がボソッと呟いた。私が相当美味しそうに食べていたのであろう。
見られていたかと思うと恥ずかしいが、自分が美味しいと思ったものをそう思ってもらえるのは嬉しい。
お裾分けしたいが、時既に遅し。うどんは先程食べ終えてしまったのでないのは当然だが、気がついたらかしわ天までなくなっていた。
< 142 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop