私が一番あなたの傍に…
「朝飯、できたぞ」

愁は手際が良いため、あっという間に作り終えてしまった。
私はある程度の料理はできるが、愁ほど手際が良くないため、時間がかかってしまう。もっとスムーズにできたらいいのに…。まだまだ料理は勉強中だ。

「朝食作ってくれてありがとう。美味しそう…」

ちなみに愁が作ってくれた朝食は、バターを塗って焼いてくれた食パンに、サラダとヨーグルトとベーコンと目玉焼きという豪華なメニューになっている。これだけあればお腹いっぱいになりそうだ。
しかも淹れてたのコーヒー付き。喫茶店のモーニングを食べている気分だ。

「いえいえ。俺の方が先に起きたから作っただけだよ」

皆がそれをできるわけではないので、それをサラッと言える愁は本当にかっこいい。
あまりにもかっこよすぎて改めて惚れ直した。

「それでもすごいよ。朝からたくさん用意してくれて本当にありがとう」

一緒に住むようになり、今まで以上に愁を大事にしたいという気持ちが芽生えた。
一緒に居る時間が長くなったからこそ、当たり前になっていくことが増えていく。
だからこそ、相手に対して常に敬意を持っていたい。見返りを求めずに、相手のことを思いやる気持ちを忘れずに、小さなことでも“ありがとう”とこれからもずっと伝えていきたいと思っている。

「俺は幸奈に喜んでもらえるのが一番だから。俺の方こそ喜んでもらえて嬉しい。ありがとう」

作る側も喜んでもらえるからこそ、作りがいがある。愁に喜んでもらえて私も嬉しかった。
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