私が一番あなたの傍に…
「今度、一緒に時間がかかる料理に挑戦してみないか?」

悪くない提案だ。一緒に料理をするって同棲ならではの醍醐味で。想像するだけで楽しそうだなと思った。

「やる!是非、やりたいです!」

「それじゃ今度、やろう。楽しみだな」

学生同士の同棲なので、お金の面でやれることは限られているが、自分達で工夫して二人で一緒にできることを考えるのが楽しい。
これから先もこうやって二人で一緒にできることを増やしていこうと思う。

「うん。楽しみ」

早く一緒に作る日が来ないかな…と、今からその日を待ち侘びていた。

「そろそろいただきますか」

せっかく作りたてで美味しい朝食が目の前にあるというのに、その朝食には手をつけずにずっとお喋りに夢中で。すっかり朝食のことを忘れていた。
冷める前にいただこう。手を合わせて、「いただきます」と言ってから、愁が作ってくれた朝食をいただいた。
まずはサラダから。サラダはシンプルで。細かく刻んであるキャベツにミニトマト付きだ。胡麻ドレッシングをかけてくれている。至れり尽くせりだ。
箸で一口分の量を運び、口の中へと入れる。よく噛みながら、サラダの味を味わう。
サラダはさっぱりしているので食べやすい。まさに朝にぴったりなメニューだ。

「…ん、美味しい」

トマトは程良い酸味があるが、甘さが強い。トマトが美味しくて箸が止まらない。

「トマト、甘くて美味しいな」

愁もトマトが美味しいみたいだ。二人してトマトの美味しさを堪能する。

「うん。美味しい。トマト、当たりだね」

また美味しいトマトを近所のスーパーで買えたらいいな。こればかりは当たり外れがあるので、なかなか難しいが。そうなることを願った。

「だな。当たりだな」

すぐにトマトは無くなってしまった。残りのキャベツを胡麻ドレッシングと一緒に味わう。胡麻ドレッシングの味とキャベツの甘味が混ざることで生まれる旨味があり、それがとても美味しい。トマトと同等の美味しさだ。
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