私が一番あなたの傍に…
まぁ普通に考えて、バイト先に迎えに来ている時点で、彼氏だと紹介しているようなものだけど。
それでも、事前に話しておきたかった。愁が何かやらかさないうちに…。
ところ構わず、同僚に対して嫉妬しそうなので、先回りして私が動いておいた方が良いと判断した。

「全然待ってないよ。迎えに来てくれてありがとう」

一人で夜道を帰るより、愁が迎えに来てくれて、一緒に帰る方が安心だけど、どうしてこんなにも胸がモヤモヤした気持ちになるのか分からなかった。この時の私はまだ。

「今日もお疲れ様」

優しく頭を撫でながら、愁はそう言った。
彼氏に労わってもらえて、嬉しかった。

「ありがとう。愁もバイトお疲れ様。働いてきて疲れてる中、迎えに来てくれてありがとうね」

「俺のことは気にするな。俺が勝手に彼女を心配してやっていることだから」

その気持ちが嬉しい。できるようでなかなかできることではないから。

「愁の気持ちが嬉しい。本当にありがとう」

付き合う前のことがあるので、付き合ってからとても大事にされているなと感じている。
愁の愛をたくさん感じることができて、やっと愁の彼女になれたのだと実感することができる。

「当たり前だろう。大事な彼女なんだから」

照れながら、愁はそう言った。
こうやって、素直に自分の気持ちを伝えられるようになり、お互いに成長したなと思う。

「うん。そうだね」
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