私が一番あなたの傍に…
「そっか。それだけ頑張ったってことだよね。お疲れ様」

「ありがと。そう言ってもらえて嬉しい」

優しい微笑みを私に向けてくれた。彼のリラックスした笑顔に私の心は癒された。

「いえいえ。こちらこそ」

「…最近、例の男はどうなんだ?まだ一緒に働いてるのか?」

どうやら蒼空のことを気にしているみたいだ。それはそうだ。自分の彼女に好意を寄せている男が、一緒に働いているのだから。

「大丈夫だよ。最近、蒼空に気になる人ができたから」

本人達は隠しているつもりなのだろうが、雰囲気で感じ取ることができる。
それに乙女の顔をした彼女が可愛い。そんな彼女を蒼空が放っておくわけがない。二人が付き合い始めるのも時間の問題であろう。もうすぐクリスマスも近いので、二人が早くくっつくことを願った。

「え?あの男、もう気になる奴がいるのか?!」

愁的には衝撃が大きかったみたいだ。愁は同じバイト先で働いていないので、内情を知らない。
私からしたら、私にフラれてからすぐに気持ちが傾いていたような感じがした。

「小林さんっていうんだけど。私がバイト先で仲良くしてる子なの。二人共バイト中気持ちを出さないように頑張ってるけど、一緒に帰ったりしてるし、小林さんは小林さんで蒼空と一緒にいる時、乙女な表情してるし、蒼空は蒼空で小林さんのこと愛おしそうな表情で見つめてるから、あの二人分かりやすいよ」

まるでかつての私達を見ているかのようだ。
中山くんもこういう気持ちで私達のことを見守っていたのかな…なんて思った。

「それはもうすぐにくっつくだろう。そのうち二人から報告があるといいな」

愁の言う通り、そうなることを私も願っている。
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