私が一番あなたの傍に…
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バイトが終わった後、皆にお別れ会をしてもらった。
本当に蒼空と小林さんも駆けつけてくれた。嬉しかった。二人が辞めた後、二人と特に交流がなかったので、こうして久しぶりに再会することができた。
ちなみに小林さんと蒼空は二年前のクリスマスデートをきっかけにお付き合いを始めることになり、今では二人も同棲を開始している。
そんな二人はもうすぐ結婚するみたいだ。幸せそうにしている二人を見て、とても幸せな気持ちになった。
「二人が幸せそうで、私も嬉しかった」
帰り道、愁にボソッと呟いた。何気ない一言だった。この時の私はそれぐらいのつもりだった。
私はすっかり忘れていた。同棲を始めたばかりの時、愁が言っていた言葉を…。
「そうだな。幸せそうだったな…」
私達もいつかそうなる日がくるといいな。今はまだ社会人として仕事を頑張るのが先だ。
でもまずは今、卒業式の準備の方が先だ。袴は成人式の時に事前に予約しておいたので大丈夫だ。
あとはネイルのデザインとヘアアレンジをどうするかだ。当日までにどうしたいのか、考えておかなければならない。
それに卒業式を終えたら卒業旅行や友達との予定も控えているので、これから大忙しだ。
「俺達、お互いに良いバイト先に出会えたな」
愁もコンビニの後に入ったバイト先がとても良いバイト先で。お互いに大学を卒業するまで働き続けた。
愁はバイト先で正社員になるための面接をし、無事に内定をもらえたので、この春から正社員として働くことになる。
職場は変わらないが、今度は立場が変わるため、気持ちを新たに一から正社員として頑張る!と言っていた。
愁なら大丈夫であろう。顔見知りの人達と働くし、今までバイトをしてきて、問題なく働いてこれたのだから。
「そうだね。ちょっとだけ名残惜しいなって思っちゃった…」
これから新たな職場で、看護師として働くことに対する不安がないと言えば嘘になる。
愁みたいに顔見知りで働いていた経験もない。
だからと言って全く知らない職場…というわけではなく、実習で少しお世話になったことはある。
とはいえども殆ど初対面みたいなものなので、今から緊張している。
きっと働き始めたら仕事に追われて、そんな心配も消えるであろう。よっぽど酷い職場じゃないことは実習で見て知っているので、そこは安心している。