私が一番あなたの傍に…
「そっか。愁はいつもすごいね。私も愁を見習わないと…」

「逆に俺は幸奈の方がすげーなって思うよ。俺からしたら寂しいって思える気持ちが羨ましい。俺もそう思えるくらい大学を卒業するってことに寂しさを感じられたらな…って思うわ」

人それぞれ感じ方は違う。卒業することで社会人になれるということが嬉しい人もいれば、学生が終わってしまうことが嫌だと感じる人もいれば、友達と離れることが寂しい人もいる。
色々な感情があるからこそ、人と人は自分が知らない感情を知ることができる。
それこそ私と愁みたいに、お互いにないものを補い合うことができる。

「愁は未来に目を向けることができて、私は感情に目を向けることができる。お互いに見てる目線が違うからこそ気づけることもあると思う。私達って良いカップルだね」

大学を卒業するということが自分の中で重くのしかかっていた。
でも愁の言葉を聞き、寂しいという感情以上に未来の楽しいことへ目を向ける大事さを学んだ。
愁も私の言葉を聞き、寂しいという感情はどんな感情なのか知ることができた。
それぞれ感じ方は違うけれど、違うからこそ気づけることもある。それが大事で。その度にまた新たなお互いの一面を知ることができる。

「良いカップルだな。これからもずっと…」

大学を卒業した後も私達は変わらない。これからもずっと続いていく。
そう思うと社会人になる楽しみが倍増した。

「そうだね。これからもずっと……」

変わらないものがここにはある。寂しさよりも大事なものがあったと気づかされた。
これから仕事も頑張りつつ、この人を大事にしたい。そういう気持ちがより一層強まった。
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