私が一番あなたの傍に…
「へぇー。あの時言ってた嫌なことに関連してる?」

合コンの時にポロッと蒼空に漏らしたことを指しているのであろう。
あの時の私はボロボロだった。見るに耐えないぐらいに。

「うん。そうだよ。私が勘違いして、暴走しちゃって。その誤解が解けたから、付き合うことになったの」

私の話を黙って、最後まで聞いてくれた。
でも、顔はずっと苦い表情のままだ。

「へぇー。そうなんだ」

世話焼きな蒼空からしたら、心配なのかもしれない。
これ以上心配かけないように、愁に対する評価を上げようと試みた。

「良い人だよ。ちゃんと愛されてるし」

取ってつけたような、中身のない言葉。
こんなの、覆すことなんて難しいと悟った。

「ふーん。そっか」

興味がないみたいだ。そりゃそうか。私と蒼空はそこまで深い仲ではない。

「幸奈、お待たせ」

愁がやって来た。気まずい空気が流れ始めていたので、このタイミングで帰れるのはラッキーだと思った。

「愁、迎えに来てくれてありがとう」

「言っただろう。俺がやりたくてやってることだから」

愁にとってはそうかもしれないけど、私はその気持ちが本当に嬉しかった。

「コイツが幸奈の彼氏?」

蒼空が話の途中で割って入ってきた。
愁はそんな蒼空を睨んでいる。気に入らないのであろう。私達の間に入ってきたから。
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