私が一番あなたの傍に…
愁はお店に着いてもずっと緊張している。今日は朝からずっと様子がおかしい。
どうしてこんなに緊張しているのだろうか。目的はこのお店ではないということだろうか。
愁の意図が見えない。目的がここではないのなら、他にどんな目的があるのか全く想像できない。
でも今はこの場の雰囲気を楽しむことにした。愁が緊張していてることに気づいていないふりをしてあげるのが正解だと知っているから。

「幸奈、今夜は飲むか?せっかくのレストランだし…」

昨日と一昨日は観光名所巡りをするため、朝早くから出かけることを考えて、お酒を控えていた。
でも明日はお昼過ぎに沖縄を経つので、朝の時間は気にしなくていい。
それに愁の言う通り、せっかく素敵なレストランでお食事をするので、お酒を飲んだ方がマナーとして良さそうだ。

「そうだね。せっかくだし飲もっか」

愁とはいつもお酒を飲む時は、近所の安い居酒屋さんか自宅で飲むことが多い。
なのであまりこういった高いお店で飲むのは未だに慣れない。あのクリスマスが再び蘇る。
あの時も緊張して、最初はどうしたらいいのか分からなかった。
今もどうしたらいいのか戸惑っているけど、以前よりは楽しめているような気がする…。

「分かった。それじゃ店員さんを呼んで、注文するな」

愁が店員さんを呼び、注文をしてくれた。お酒だけじゃなく食べ物も…。
そんな愁の姿を見て、私は改めてかっこいいなと思い、惚れ直した。
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