私が一番あなたの傍に…

12章:marriage ring〜永遠の誓い〜

卒業旅行でプロポーズを受けてから一年が経過した。
あの時はまだ大学を卒業したばかりだったのもあり、結婚式も籍を入れるのも社会人として落ち着くまで待った。
でもその間に両家への挨拶は済ませた。自分達の立場上、もうただの学生ではなくなったので、私達なりの覚悟を親に見せておきたかった。
ってきり今回も親から何か言われるものだと思っていたが、反対せずに結婚を承諾してくれた。
それが嬉しかった。両親も愁のことを好きになってくれたのが分かったから。
ちなみに愁のご両親はとても喜んでくれた。特にお義母様は泣いて喜んでくれた。
私達は幸せ者だ。自分達の結婚を祝福してほしい人達に祝福してもらえたのだから。
端から見たら若すぎる結婚かもしれない。それでも今の私達には強い覚悟があった。
誰よりも長く好きな人と生涯を共に歩みたい。その想いと覚悟が強いから、結婚という人生の大きな決断をこの若さで決めた。

覚悟を決めたはいいものの、もちろん私達はまだ若いのでお金はない。
だから一年間、一生懸命結婚式に向けてお金を貯めた。
お金を貯めるのは大変だったが、二人で一緒に頑張ることができたから辛くはなかった。
それ以前に卒業旅行に行くのにお金を貯めていたこともあったので、貯金をするということが二人の間で当たり前のことになっていた。
だから私達は楽しく結婚式に向けてお金を貯めた。なんとか一年間で最低資金を集めることができた。
でもあともう少し足りない。もう一年…頑張らないといけないかもしれない。
二人で通帳を見ながらそんなことを考えていたら、双方の両親から電話がかかってきた。

『結婚式の足しにして。親にできることがあるうちは親にさせてちょうだい』

親にそう言ってもらえた瞬間、涙が溢れ出た。
まだ私達は社会人に成り立てで。まだまだ子供だ。
だからこそ、もっと親に頼ってもよかったのだと気づかされた。

「愁、とても素敵な式にしたいね」

自分達が決めた覚悟に親が応えてくれた。その気持ちを無駄にしたくない。
そのためにも参加してくださった皆様が、この式に参加してよかったと思ってもらえるような式にしたい。

「そうだな。とても素敵な式にしないとな」

親への感謝の気持ちを忘れずに、私達はとても素敵な結婚式にしたいと誓った。
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