私が一番あなたの傍に…
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結婚式の資金も貯まったので、式場へ下見へ行くことにした。
一度、資金を貯めている最中に下見へ行ったことがあるが、その時はどのくらいの資金が必要になるのか知りたかったので足を運んだ。
今度は違う。ちゃんと式を挙げるために下見へ行く。それだけで前回と下見に行く気持ちの重みが違う。
「幸奈、良い式場を見つけような」
自分達の人生において一度きりの大切な式だ。その式だからこそ自分達が納得できる式にしたい。
「うん。見つけようね」
一発で良い式場に出会えるとは限らない。だからといって数多く当たればいいというわけではないが…。
できればなるべく時間がかからずに自分達がいいなと思う式場に巡り逢えることを願っている。
今日下見に行かせてもらう式場は以前、一度下見に行かせてもらった式場だ。どういう式場なのか一度見て知っているので、値段も含め私達はいいなと思っている式場の一つである。
それ以外にも式を挙げるにあたって、幾つか式場を調べた。予算の範囲内でいいなと思ったところを幾つか見つけたので、せっかくだから他の式場も見ようという話になった。
でもやっぱり初めて下見に行かせてもらった式場のことを今でも覚えていて。できればその式場がいいなと密かに思っている。
愁もきっと同じ気持ちであろう。言葉にはしないが、なんとなくお互いにそんな雰囲気を醸し出している。
「それじゃ下見に行こっか」
でも敢えて言わない。実際に見て決めたいから。
そんな気持ちを心に留めておきながら、手を繋いで下見に行った。
「緊張するな。金額も金額だし、一世一代のことだし…」
愁の言う通り、一世一代のことなので、お金の面も含めて緊張しない方がおかしい。
車が買えるくらいの金額が発生するため、慎重になるのは当然だ。
私達のような庶民には余裕なんてない。いつだってギリギリで頑張って生活をしている。
「そうだね。本当に緊張しちゃう…」