私が一番あなたの傍に…
だから、愁に対してツンケンした態度を取ったのであろう。
大事な妹みたいな存在の私が、もう傷つくところは見たくはないから。
私を傷つけた愁に対して、怒りを抑えきれなかったんだと思う。

「そうかな?放っておけないだけだと思うよ」

「いや、あれは違う」

愁の目が怒っていた。自分の彼女を好きな蒼空を許せないみたいだ。

「幸奈、あの男にだけは気をつけろ。絶対に…」

まっすぐ見つめられながら、そう言われた。
私もできるだけ今のバイト先で長く働きたいし、愁の心の負担を減らして上げたい。

「うん。分かった…」

どこまで上手く愁の要望に応えられるか分からないけど、今は私なりにやれることをやろうと思う。
その日、愁はずっと甘えてきた。強がってはいるが、 本当は不安なのだと知った。
私の気持ちを信じてもらえないのかと落ち込みそうになったが、今、私が落ち込んでしまったら、愁はもっと不安になってしまう。
二人して自滅してはいけないと、気持ちを強く前を向いた。
今思えばこの時、私がもっと自分の気持ちに素直になっていたらよかったのかもしれない。
そうやって誤魔化していくうちに、見えないところまで自分の心の中にある溜まった気持ちを抱えていたなんて、知るのはまだ先のお話で。
まだ何も知らない私は、愁の気持ちに寄り添うことに必死なのであった…。
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