私が一番あなたの傍に…
やっぱり中山くんは、とても理性的だなと思った。
だから、こうして相談したくなるのかもしれない。話をちゃんと最後まで聞いてくれるから。
愁が全く話を聞いてくれないとは言わない。ただ、今は良い関係を築き上げているからこそ、この関係性を壊したくないという気持ちが大きくて。上手く切り出せずにいる。
このままじゃまずい。早くこの状況を打破し、早く元通りの幸せな時間に戻りたい。
今の私は自分の幸せを守るために必死で。周りが上手く見えていなかった。

「愁の気持ちも分からなくもないけど、大平さんの気持ちも分かる。
そのバイトを紹介してくれた人に対して、ライバル視するのは分かるけど、大平さんにも大平さんの時間があって。そこでしか築き上げられない関係性もあるから、ある程度お互いに自由の時間も必要だと俺は思う」

中山くんが私の気持ちを分かってくれて嬉しかった。
それと同時に中山くんの言葉に、私はとても共感した。

「そうなの。私にも私の居場所があって。なるべく長くそこで働きたいから、自分の居場所を大事にしたいの」

自分の悲痛な想いを一生懸命、訴えた。
この時、初めて自分が今までずっと抱えていた不満に直面した。

「大平さん。俺達に話したように、愁に本当の想いを話した方が良いと思う」

冷静に中山くんに諭されて、胸の奥がギュッと掴まれたような気がした。

「あの…。私もそう思います。ずっと一緒に居たいのなら尚更です」

本当にその通りだ。ずっと黙って話を聞いていた幸保さんにも優しく諭され、私はようやく決心した。
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