私が一番あなたの傍に…
「ただいま。疲れた…」

「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

「やっと終わった…。幸奈に早く会いたくて頑張った」

愁は完全に甘えモードに突入している。
こうなった愁は、なかなか離れてくれない。

「はいはい。私も早く愁が終わるのを待ってたよ。
でも、その前にお風呂へ早く入ってほしいな。お願い…?」

頑張って上目遣いでアピールした。
卑怯と言われても構わない。彼氏に何としてでも早くお風呂へ入ってほしいため、手段は選ばない。

「その目と声はズルいな。分かった。入るよ…」

渋々お風呂へと、愁は入ってくれた。
愁がお風呂に浸かっている間、愁が帰ってくるまでの間、作っておいた料理を温めておいた。
料理を温めながら、どのタイミングでアルバイトのことと、蒼空のことを話そうか悩んでいた。
早く話さないと拗れてしまいそうなので、今すぐにでも話してみることにした。

「ふぅ…。いいお湯だった…」

そうこうしているうちに、愁がお風呂から出てきた。
まだ心の準備はできていないが、今話さないと、あとで蒼空の存在を知った時の愁が怖い。

「しゅ、愁、火使ってるから危ないよ?」

料理を温めている最中に、愁にバックハグをされ、心臓が飛び跳ねた。

「そんなのダーメ。関係ない。今は幸奈に甘えてもいい時間だから」

「もう分かったよ。仕方ないな。抱きついててもいいから、少しだけ手伝ってね」

話すタイミングを見失ってしまった。
もし話すタイミングを間違えでもしたら、愁の機嫌が悪くなり、アルバイトができるかどうかも怪しい。
もし、そうなった時は、断りの連絡だけでも入れよう。彼氏が嫉妬して…とでも説明をして。
なんてことを頭の中で考えていたら、思わぬハプニングが起きてしまった。
< 3 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop