私が一番あなたの傍に…
「うん。そうだね。頑張って働くよ」

「だね!私も頑張る!」

バイト前だというのに、二人ではしゃいでしまった。
その気持ちのまま、バイトに臨んだ。


           *


やっとバイトが終わり、これで帰れる。
一息ついてから、着替えて帰ろうと思い、私は裏口でぼーっとしていた。
すると、同じく裏口にやってきた人物がいた。その人は…。

「幸奈、お疲れ」

「蒼空。お疲れ様」

蒼空の手には煙草が…。
どうやら、煙草を吸いにきたみたいだ。

「煙草はいつもここで吸ってるの?」

気になったので、聞いてみた。
そういえば、初めて会った時も、煙草を吸ってたな…。

「店内も休憩室も禁煙で吸えないから、ここでこっそり吸ってる」

蒼空らしいなと思った。人に気を使いつつ、自分の道を進むところが。

「そうなんだ。いいね。なんか自分だけの時間って感じで」

私は煙草を吸わないし、吸いたいとも思わないが、こうして自分一人だけの特別な時間…みたいなのには憧れる。

「確かにそうかもな。ま、こうして幸奈に会えて、俺はラッキーだけどな」

そう思ってもらえて嬉しいが、そんな風に思っていたんだと知り、意外だなと思った。

「そう?そう言ってくれてありがとう」

私は今、蒼空に会って、複雑な気持ちだ。
途端に愁の顔が思い浮かび、早く会いたいなと思った。

「幸奈はさ、俺のことどう想ってる?」
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