私が一番あなたの傍に…
自分がもし、逆の立場だったら、俺みたいな奴、邪魔でムカつくだけだ。
それなのに、俺という存在を許し、アルバイトを彼女のしたいようにさせてあげているという心の広さだけで、彼氏の方が勝っている。
俺はその時点で負けているし、そもそも幸奈と過ごした時間の長さの段階で負けている。
最初から勝てないと分かっていながらも、挑む勝負は初めてで。
それでも、誰かを好きでいたいと思った。

きっとそう思わせてくれたのは、幸奈のお陰だ。
幸奈が誰かを一生懸命想う心に、影響を受けたんだと思う。
今はまだ難しいが、俺もいつか誰かを一生懸命、想う恋愛がしてみたい。
そうなる未来を信じて、今は目の前の恋に真剣に向き合った。
まだフラれるのは少し先に伸ばした。そのくらいの悪あがきは、神様でも許してくれるような気がした。

また再び誰かを好きになる素晴らしさを知ることができた。
それだけでも良しとしよう。もう臆病な俺はいない。
この恋が終わっても、俺はまた誰かに恋をしたい。俺を想ってくれる誰かと…。
その気持ちを胸に抱きながら、この恋に対する決着をつけられるように、心の準備を始めるのであった。
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