私が一番あなたの傍に…
“今夜、空いてる?”

唐突すぎるお誘いかもしれないが、私にはこれぐらいの勢いがないと飛び込めない。
あとは愁の返事を待つのみだ。久しぶりに愁の返事をドキドキしながら待っている。
待つこと数分。愁から返事が返ってきた。

“空いてるから、会えるよ”

“会える”…。このたった一言だけで嬉しかった。

“それじゃ今夜、家でどう?”

勇気を出して、家に誘ってみた。
拒否されたら悲しい。大丈夫だと信じたい。

“いいよ。バイトがあるから、終わった後でよければ”

来てくれるだけで有難いので、愁さえ良ければ是非来てほしい。
その想いを伝えることにした。話す覚悟を決めたから。

“バイトが終わった後でも大丈夫なので、よろしくお願いします”

ここまできたら、もう大丈夫だ。あとは愁が来るのを待つのみだ。
心の準備を整えながら、夜がくるのを気長に待った。


           *


配信でドラマを見ながら、時間を潰していたら、あっという間に時間が過ぎていった。
そんなタイミングで、愁から連絡がきた。

“今、バイトが終わったので、そちらに向かってます”

いよいよ愁が家にやってくる…。
そう思うと、一気に緊張感が込み上げてきた。

“了解です。お待ちしております”

心を落ち着かせながら、愁が来る準備を始めた。
まず、散らかっている所を片付け、それが終わったらお茶の準備を始めた。
そんなこんなで準備をしているうちに、インターホンが鳴った。愁が到着したみたいだ。
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