私が一番あなたの傍に…
「幸奈、携帯鳴ってるぞ?」

テーブルの上に置いてある、私の携帯が鳴り響いていた。
この着信音は間違いなく電話だ。急ぎの用事かもしれないと思い、手が空いていなかったため、愁に取ってもらうことにした。

「愁、悪いんだけど、手が話せないから、代わりに私の携帯を取ってきてくれない?」

「いいよ。幸奈のためなら」

すんなり言うことを聞いてくれた。
…なんて思ったのも束の間、すっかり私は忘れていた。あの人の存在を。

「……幸奈、コイツ誰?」

「えっと…、どこから説明したらいいのやら……」

頭が困惑していた。上手く説明しようと思えば思うほど、言葉に詰まる。
やましいことは何一つないし、していない。
でも、心の中のどこかで罪悪感を感じている自分がいた。
やっぱりアルバイトのこと、断るべきだよね?他の男性に紹介されたアルバイト先で働くなんて、嫌に違いない。
自分がもし、逆の立場だったら、嫌な気持ちになる。
だから、ササッと関係を説明して、アルバイトのことは断ろう。
そして、彼氏ができたことも報告しよう。よし、そうしよう。

「ふーん。別にいいけど」

私が歯切れを悪くしたため、愁の機嫌を損ねてしまった。
誤解してほしくないため、ちゃんと説明することにした。

「待って。ちゃんと話を聞いて。その人は蒼空(そら)って言って。えっと…」

付き合う前とはいえども、合コンに行ったなんて言ったら、どう思うだろうか。
少し怖いけど、勇気を持って言うことにした。
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