私が一番あなたの傍に…
「まず、ずっと隠しててごめん。やましいことがあったから、中々話せなかったわけではなく、私の中で心の整理が必要で。今日、その心の準備ができたので、ようやく話す覚悟が持てました」

前置きが長いと思われているに違いない。
それに自分で仰々しくしてしまった…。もっとナチュラルに話せばよかったと後悔している。
それでも、もう話し始めてしまったので、引き返せない。そのまま喋り続けた。

「この間、バイト終わりに蒼空に告白されたの。
びっくりして、頭が追いつかなくて。早く断らなきゃと思ったんだけど、上手く躱されちゃって。すぐに断れなくてごめん…」

こんなことを聞かされても、愁は複雑な気持ちかもしれない。
気分を害したと思いつつも、もう一人では抱えきれなかった。

「…そうだったのか。幸奈、話してくれてありがとう」

とても穏やかな笑顔で、優しく包み込んでくれた。
たったそれだけのことで、私は目から涙が零れ落ちた。
ずっと怖かった。このまま話さない方が、平和に事が解決すると思ったりもした。
でも、愁とこれからも長く付き合っていくのであれば、向き合うことから逃げてはダメだ。
私は愁と恋人として、これからも付き合っていきたいし、バイトも続けていきたい。
多くを望んではいけないと分かっていながらも、多くを望んでしまう。
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