私が一番あなたの傍に…
でも、最初から諦めるのはでなく、ちゃんと自分の気持ちを口にした上で、どうすればいいのか考えればいいだけの話だ。
今の私達ならそれができる気がした。頑張って勇気を出してよかったと、心の底からそう思った。

「愁、全部受け止めてくれてありがとうね」

愁が居なかったら私は今、こんな風に前に進むことはできなかったと思う。
愁が居てくれてよかった。やっぱり私には愁しかいない。

「幸奈のことが大好きだからね。それに俺の過去の過ちを、幸奈も受け止めてくれたから。今度は俺の番だなと思って」

愁はずっと私に黙って、人を利用して恋人のフリを続けていた。
そのことを私以上に本人が気にしている。私が温かく受け入れないと、愁との未来はないと悟った。
もう愁とすれ違うのは嫌だ。早く愁と恋人になりたいと思ったから、私は愁の過去を受け入れた。
私がちゃんと受け入れたから、愁も同じように応えてくれた。
こうやって一つずつお互いのことを知り、良いところも悪いところも受け入れていけたらいいなと思う。

「私はただ愁が好きで。愁と恋人になりたかったから」

「なら、俺も同じだよ。幸奈のことが好きで。幸奈の彼氏として、幸奈の傍に居たいからだよ」

どんなことがあっても、私達は壁を乗り越えて、傍に居る。
これから先、どんなことがあっても、愁とずっと一緒に居られると、この時そう思った。
< 42 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop