私が一番あなたの傍に…
「愁…」

嬉しすぎて思わず、気がついたら声をかけていた。
すると愁が、私の声にすぐに気づいてくれた。

「おう。お疲れ、幸奈」

いつも言ってくれる労いの言葉。それにプラス、温かい穏やかな笑み。
私はこの人のこういうところが大好きだなと、改めてそう思った。

「ありがとう。愁も一日お疲れ様」

今日、愁はバイトがない日なので、お迎えに来てくれているが、日中は大学があった。
お互いに一日頑張った。労いのお礼に労った。

「いやいや、俺よりも幸奈の方が疲れてるだろう。学校にバイトに両方あったわけだし」

確かに愁の言う通りだが、愁だってバイトがなかったにせよ、学校があったわけで。それなりに疲れているはず。
それなのに、こうしてお迎えに来てくれる。その心遣いに、前のアルバイトの頃から感謝している。

「それはそれ。これはこれ。愁だって学校があったわけだから。
その上でこうしてお迎えに来てくれてありがとうって思ってます」

まっすぐに自分の想いを伝えた。今日は自分の想いをまっすぐに伝えたくなるような気分だった。

「そう言ってくれてありがとう。俺もこうしてバイト終わりに会えて嬉しい」

お互いにお互いを想い合う。これだけで幸せだ。

「それじゃ、帰ろっか。早く二人っきりになりたいし」

あのことを早く報告したかった。

「お、おう。そうだな…」

愁が照れてる。どうやら愁は、攻められるのに弱いみたいだ。
たまにこうやって攻めると、愁の反応が面白くて。楽しくなってしまう。
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