私が一番あなたの傍に…
「私は大平さんが彼氏さんとどうしたいかって気持ちの方が大事だと思う。私も同じ立場だから、先々のことで不安に思う気持ちも分かる。そういうのも含めて、彼氏さんと話してみたらどう?」

小林さんの言葉が、胸の奥に突き刺さった。小林さんが経験者だからというのもあるが、今の自分自身について的確に欲しい言葉をもらったから、深く胸に響いたんだと思う。
ちゃんと自分のことを見てくれる人はいて。そういう人の言葉だからこそ、自分のためを思って言ってくれていることが伝わり、胸に深く突き刺さる。

「そうだね。愁とちゃんと話し合おうと思う」

私の気持ちはまだ固まっていない。どうしたいのかなんてよく分からない。
でもその気持ちさえもちゃんと伝えないと、愁はずっと私の気持ちが分からないままだ。
そのすれ違いが今、小さいものだとしても、そのうち積み重ねていくうちに、どんどん大きいものへと変わっていく。
それは嫌だ。この先もずっと愁と一緒に居たいから。一緒に居るために、どんな小さなことでも二人で一緒に向き合っていきたい。

「よし。休憩終了。残りの時間も頑張って働こう」

小林さんが喝を入れてくれた。私はその喝に勇気をもらった。

「うん。頑張るぞ」

バイトが終わったら、愁に連絡しよう。そして、できるだけ早く話をしよう。
その話し合いが二人にとって良い方向に進むことを願った。
< 54 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop