私が一番あなたの傍に…
「あのね、さっきの電話の件なんだけど、蒼空から人手が足りないから、アルバイトの紹介を受けたの」

数秒、間が空いてから、ようやく愁が反応を示した。

「……なんだ。アルバイトの紹介か」

あれ?思っていた反応と違う。
こっちが拍子抜けした。

「それでその…、蒼空という男が紹介したアルバイトは、どんなアルバイトなんだ?」

「カフェだよ。前に何のアルバイトしてた?って聞かれて、コンビニだって答えたら、接客経験があるから大歓迎だって言われた」

「良い機会じゃないか。やってみたら?」

まさか賛成してくれるなんて思わなかったので、嬉しさが込み上げてきた。

「うん。やってみようと思う。愁も応援してくれていることだし、頑張る」

決して反対してほしかったわけではないが、こうもあっさりと許可をもらえるとは思ってもみなかったので、ちょっぴり寂しく感じた。
反対されなかったことに、ここまでダメージを受けるとは思ってもみなかったので、本当は少しだけ反対してほしかったのかもしれないと思った。

「幸奈なら、きっとどこへ行ったって大丈夫だ。ちゃんとやれる。
でも、今まで通り、一緒に働けなくなるのは寂しいけどな」

やっぱり、先程のことは訂正しよう。
嫉妬されるより、今の言葉の方が胸に響いた。
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