私が一番あなたの傍に…
改めて親の存在の大きさを知った。そしてこれからは親に感謝し、それを行動に移して親孝行ができる娘でいようと誓った。

「…せっかく来て頂いたから、今日はこのまま泊まっていきなさい。愁くん。お酒は飲めるかい?」

父は将来の義理の息子と既にお酒が飲みたいみたいだ。
でも残念ながら、まだ私達は二十歳ではない。あと数ヶ月したら二十歳を越える。その時がくるまでのお楽しみだ。

「すみません。まだ二十歳ではないため、飲めないです。でもお注ぎします」

愁はお父さんの傍に駆け寄り、コップにビールを注いだ。
父は愁が注いでくれたビールを、とても美味しそうに飲んだ。そんな父を見て、早く愁と結婚したいと思った。

「これからよろしくね、愁くん」

父が一言告げた。こんなふうに娘の彼氏を受け入れ、認めてくれる父が私は誇らしかった。

「はい。末長くよろしくお願いします」

本当に末長く続くことを願った。今夜は長い夜になりそうな予感がした。


           *


あれから月日が経過し、愁のご両親にも無事に挨拶を済ませた。
うちの両親とは違い、挨拶をして、同棲の報告をした瞬間、すぐに認めてもらえた。
しかも愁のお母さんは、私を優しく迎え入れて下さって。とても好意的で。それが嬉しかった。
すぐに愁のお母さんと意気投合し、仲良くなった。うちのお父さんみたいに、「息子をよろしくね」と言われた。
私は、「任せてください。こちらこそよろしくお願いします」と答えた。
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