私が一番あなたの傍に…
最初はあんなに面倒くさがっていたのに、不思議なもので。こうやって引っ越しの準備をするのも、段々と楽しくなってきていた。新生活を始めることへの期待が高まっているのもしれない。
それと同時にこの家ともおさらばするのかと思うと、途端に寂しさが込み上げてきた。
大学生活を始めてからずっと住んでいたお家だったので、なんだか考え深い。
学生のうちはこの家から引っ越すことなんてないと思っていた。
まさか彼氏ができて。その彼氏と同棲をするために引っ越すなんて。一年前の私には想像すらできなかったと思う。

こうして同棲することになった今は、ふわふわした気持ちの方が大きい。
不安な気持ちは同棲をするか・しないかを決める時の方が大きかった。
愁と一緒に住むのは絶対に楽しい。きっと身体を重ねる頻度も上がる気がする。なんて恥ずかしい想像をしながら、身体の熱が上昇していく。
愁も同じことを考えているのかな?たくさん私と……。
って、そんなわけないか。今頃、引っ越しの準備で忙しいに決まってる。そんな恥ずかしい想像をしている暇なんてないはず…。
これじゃまるで私が欲求不満みたいだ。きっと引っ越しの準備で忙しくて。愁と触れ合う機会がなかったからに違いない。
私は知らないうちに求めていたみたいだ。愁との触れ合いは心地良くて。何度も求めてしまいたいくらい、甘い蜜をたくさん与えてくれる。
その甘い蜜は枯れた身体を潤してくれて。与えられる度にもっと蜜を求めてしまう。繰り返し何度も…。
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