私が一番あなたの傍に…
最終確認をしているうちに、色んな思い出を思い出す。この家で過ごした思い出がたくさん詰まっている。
きっとここで過ごした思い出は忘れない。大好きな人との思い出がたくさん詰まっているから。
このお家で過ごした時間があったからこそ、今こうして好きな人と一緒に過ごすことができる。
そんな想いを胸に抱きながら、愁の元へと一直線に向かった。

「愁、お待たせ」

玄関を出て、数歩歩いたら愁がいた。
私が声をかけると、愁は満面な笑みを向けて、私に手を振ってくれた。

「全然待ってないよ。それじゃ新居へ向かいますか」

片手を差し出してきた。これは手を繋ごうという合図だ。
私は迷わずにその手を掴んだ。これからも一緒に歩んでいくという意味を込めて。

「うん。そうしよう」

新居は今まで住んでいた街と同じ街になった。引っ越すと言ってもご近所に新居を移すだけなので、歩いて新居へと向かう。
そんなに引っ越し感はないが、新居に住むというだけでワクワクが止まらない。だって今日から二人だけの生活が始まるから。
このワクワクした気持ちは今だけかもしれない。いつか壁にぶち当たり、二人の間に衝突が起きる時がくるかもしれない。
たとえそうなったとしても、その時は二人で一緒に乗り越えたい。今、こうして一緒に歩んでいるからこそ、二人でどんなことでも乗り越えていけると信じられる。
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