私が一番あなたの傍に…
「うん。私も寂しいよ…」

ようやく恋人同士になれたのだから、一緒に過ごせる時間が減るのはとても寂しい。

「仕方ねーな。寂しがり屋の幸奈さんに、俺からのプレゼント」

こっちへおいでと手招きされたので、ソファの上に座る愁の元へと近づいた。

「俺の膝の上に座って。早く」

甘えたい気分だったので、私はすんなり愁の膝の上に乗った。

「もっとくっつかないと、意味がないだろ?」

愁が私を抱き寄せた。
より密着した状態となり、愁の体温がより近くに感じた。

「あのさ、俺は今の話をちゃんと聞けて、少しホッとしたんだ。もし、浮気してたら、どうしようとか考えちゃってさ。
だって、知らない男から電話なんてかかってきたら、普通はそう思わないか?」

正しくその通りである。逆の立場だったら、もっと不安になっていたと思う。
愁を不安にさせた不甲斐ない自分の行動に、私は落ち込んだ。

「ごめんなさい。不安にさせちゃって…」

謝っても許してもえるとは思っていない。
ただ、自分が許せないだけだ。やっと手に入れた幸せを大切にすると、決めた矢先の出来事だったからである。

「幸奈が謝る必要なんてない。俺が自分に自信がなかっただけだ」

しかし、自分のせいで不安にさせたことに、申し訳ない気持ちになった。
そんな私を見て、愁はある提案をする。
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