私が一番あなたの傍に…
「でも俺も同棲することを選んで良かったなって思ってる。俺達の関係性がより深まったと思うし、幸奈と一緒に居られる時間が増えたから嬉しい」

私もそう思う。どんなことでも自分達で選んだことに意味がある。この先もこうやって二人で一緒に歩んでいきたい。

「そうだね。絆が深まったと思うし、一緒に居られる時間が増えるのは嬉しいよね」

「うん。嬉しい。もう勝手に幸奈の花嫁姿を想像してる…」

さすが愁。もう将来のことまで想像しているみたいだ。
この暴走っぷりは、一生変わらないのであろう。そして同時に愁の中で私と結婚することは当たり前であるということも分かった。

「いつか花嫁としてもらってくれるの?」

分かっていてわざと聞いてしまう。言葉の続きを聞くために。

「当たり前だろう。俺以外に幸奈を渡したくない」

まっすぐに私だけを見て、言葉を伝えてくれた。
澱みなく伝えてくれる姿が嬉しくて。この人を選んで良かったと心の底からそう思った。

「うん。渡さないでね。絶対に離れないけど」

繋いでいる手を強く握った。想いを込めて伝えるために。

「渡さないように努力する。俺も絶対に幸奈を離さない」

遠回りして手に入れた恋だからこそ、もう絶対に後悔したくないし、側を離れたくない。
この先もずっとこの気持ちは変わらないであろう。それぐらい強い絆で私達の想いは結ばれている。

「離れないし、私だって離さないよ」

何があっても絶対に離れない。その覚悟が持てるようになった。好きな人ができて、人生に責任を持てるようになった。
きっと愁も同じで。恋愛が自分の価値観や生き方を大きく変えてくれるなんて、思いもしなかった。
だからこそ、この人の側にずっと居たい。そう思える人に出会えたことに感謝している。
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