私が一番あなたの傍に…

「早く就職したい。幸奈と結婚したい」

これはもう早々、プロポーズされたようなもの。前々から将来のことは考えていると伝えてくれていたので、愁の気持ちは知っていた。
私だって考えている。将来的には愁のお嫁さんになりたいと。それができるだけ近い将来であってほしいと。

「私も早く結婚したいな。…って今日から同棲し始めるのに気が早いか」

気が早いと分かっていても、つい気持ちが急いてしまう。
でも実際、まだ私達は学生だ。同棲だってギリギリなのに、結婚はまだ早い。
せめて大学を卒業して、就職して、安定した生活を送れるようになってからだ。
それまでは今の生活を維持できるように、二人でこの先も一緒に頑張っていきたい。
いきなり全部を求めて、欲張ってはいけない。少しずつでいい。遠回りした分、もうずっと一緒に居たいと思う気持ちは変わらないから。

「そうだな。でも俺、幸奈に関しては欲張りになるって決めてるから、我慢したくねーんだ」

それは私も右に同じくだ。後悔があるからこそ、今を惜しみたくない。
だから私も我慢しない。大人から見たら、そういったところが子供なのかもしれないが、私達にとっては大事なことで。
一緒に暮らすと決めたのも、結婚したいと将来を望むのも、今の私達の欲張りだ。

「私も我慢したくない。愁が大好き」