私が一番あなたの傍に…
これからはこれが毎日当たり前になっていく。ずっとこんなふうに“ただいま”と“おかえり”を言い続けていきたいなと思った。

「なんか変な感じだね。ふふ…」

「だな。へへ…」

まだ慣れていないせいか、気恥ずかしい。
いつか慣れるその日まで、今はまだこの空気に浸っていたい。

「と、とりあえず、生活するのに必要なものから、荷解きをしよっか」

全く生活ができないのは困るので、ある程度は生活できるようにしておきたい。
引っ越す前にお互いに荷物を詰めた段ボールに、何を詰めたのか書いておいた。
そのため、一々段ボールを開けて中身を確認する作業はしなくて済む。

「そうだな。必要なものだけ段ボールの中から取り出そう」

手分けしてそれぞれの荷物の荷解きと整理を始めた。
ちなみに段ボールには名前も書いておいたので、どちらの荷物なのかも分かりやすい。
私の名前が書いてある段ボールを探して、私の荷物をダンボールの中から取り出した。
まずは洋服を。洋服は毎日着るものなので、優先順位としは上だ。
次に大学に必要な物だ。大学もお休みの日以外は毎日通うので、必然的に優先順位は高くなる。
とはいっても、必要なものは殆ど鞄の中に入れてあるので、あとは鞄の中に入っていないものをダンボールの中から出すだけだ。
そして次はキッチン用品だ。キッチン用品が揃っていないと料理ができないため、食事が取れない。
それだと困るので、キッチン用品も最初に用意しておかなければならない。
主にお皿とお箸とコップ。これらがあれば最悪、出来合いのものを買ってきてもなんとかなる。
頭で優先順位を考えながら、必要なものだけを荷解きしていく。
なんだかんだそれなりに必要なものがあり、あっという間に時間だけが過ぎていった。
新居に着く前に話していたことなんて忘れるほどに...。
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