私が一番あなたの傍に…
「ふぅ...。一旦、休憩しますか」

そろそろ休憩したいと思っていたタイミングで、愁から休憩を提案してくれたので、私はその提案に乗った。

「そうだね。休憩しよっか」

まだ段ボールの中から荷物を出しただけで、荷物の整理はできていない。
今からこの荷物達を整理しなければならないかと思うと、気が遠くなった。

「引っ越しって大変だよな。荷物の整理だけで終わりそうだよ」

愁の言う通りだ。最初からそうなることは分かっていたが、まさかここまで大変だとは...。

「終わりそうだね。暫くバイトをお休みにしておいてよかったよ」

この状態のままバイトをするのなんて無理だ。
その間お金は稼げないが、そんなことはどうでもいいと思ってしまうくらい、今は荷解きのことで頭がいっぱいだ。

「俺も休みは一応もらったけど、ちょいちょいバイトが入ってるから、幸奈に任せちゃう時もあるかも。ごめんな」

二人で休むとその分、稼ぎが減るので、愁が働いてくれることに感謝した。

「大丈夫だよ。私一人でもやれるからね。寧ろバイトに入ってくれてありがとう」

愁だって大学があって、荷解きもしなければいけないのに、その上でバイトまでするなんて、体力的にギリギリな状況だと思う。
それでも同棲を続けるために頑張ってくれている。そんな愁の姿を見て、私も愁のために頑張りたいと思えた。

「好きな女と同棲させてもらえるんだから、頑張らないとダメだろ。彼氏として...な」

無理しているわけじゃない。愁自身が覚悟を持って同棲に意気込んでくれている。
それが彼女としては、彼氏の誠実さが伝わってきて嬉しい。その誠実なところが大好きだ。
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