黒を以て白を制す
「お姉ちゃんの人生ってほんとハードモードだよね」
隣で一部始終を見ていた大学生の妹が顔を引き攣らせながらポツリと呟く。本気でドン引きしている顔だ。マスカラを塗りたくった重い睫毛を瞬かせて、嫌なものでも見るように目を細めて私を見てる。
妹は私とは違って明るく友達が多い。世渡り上手。こんな目にはまず合わないんだろう。
私が姉だと知られると『お前の姉ちゃんムカつく。何とかしろよ』とうざ絡みされたりもするらしいが、妹は持ち前の毒舌で『うるせぇ黙れ。知るかドブス。散れ!』と好き放題に言い返すので被害は少ないらしい。
だから私が姉で恥ずかしいだとか迷惑だとか、その辺はあんまり気にしていない。私は気にしてるけど。
しかしまぁ、我が妹ながら可愛いな。“病みメイク”なんて名前のメイクをしているのに、着ている服がピンクやら黄色やらビビッドカラーで元気いっぱいだ。
何なら私の方が病みが深い。むしろ、私の闇も愛しておくれ。妹よ。