黒を以て白を制す

 「これだけハードなら来世はきっと超イージーモードなってるはずよね」

 「どうだか」

 「いえ、絶対にそうだと思いたい。しかも強くてニューゲーム。美人、天才、金持ち、人気者、光属性のステータス持ちが希望」

 「ならんわ。むしろ、今でしょ今。今を変えろ」

 「えー」

 「いったい、どんだけの悪さをしたらそんな苦行を強いられる人生になるの?」

 「知らない」


 “ちっ”と舌打ちを放つ妹に苦笑いを向ける。

 
 そんなの、私だって出来ることなら楽に渡れる人生を歩みたかったよ。簡単に友達が出来て、平和で楽しくて沢山の人に囲まれて笑う、そんな明るい人生を。


 こんな嫌われっぱなしの悪役人生じゃなくって、妹みたいな伊那君みたいな、味方だらけの白く輝いた人生が良かった。


 「職場のことだってさ、バカみたいじゃん。バカがミスっただけなのに、まんまと悪役にされて」

 「まぁ…」

 「味方が少ないから直ぐに狙われんだよ。いい加減、敵ばっか作ってないで友達くらい作ったら?」


 妹にビシバシ言われて心に苦い気持ちが走る。分かってはいるんだけどなー。そうは言っても上手くいかない。


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